父親たちの星条旗 期間限定版出演:
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日 2007-05-03
オススメ度:★★★★
太平洋戦争末期、硫黄島に上陸した米軍は日本軍の壮絶な攻めに苦戦をしいられつつも、圧倒的な戦力で山の頂上に星条旗を立てた。その写真は米国の勝利を映し出し、旗を立てた3人は、帰国すると英雄となっていた。しかし、そこには写真に映らない事実があり、それは政府の都合で封印されてしまう。戦費のために米軍の広告塔になった生還者たち。しかし、彼らは硫黄島で仲間を多く亡くし、死と背中合わせの体験をし、その精神的なダメージは大きかった。そんな彼らだったが、国は彼らを徹底的に利用しようとする…。
硫黄島での米国と日本の闘いを、米国側と日本側から描いたクリント・イーストウッド監督による2部作の米国編。戦争シーンのすさまじさは、『プライベート・ライアン』を彷彿させるが、戦争によって傷ついた兵士の心をエピソードの積み重ねでていねいに綴り、戦争がもたらした悲劇をあぶりだす。硫黄島であった悲惨な経験と、帰国後、彼らが政府から受けた扱いの醜さ、それがどんなに兵士たちを苦しめたかという事実が、激しさと静けさをバランスよく配した演出で、見る者の心に静かに浸透していく。出演はライアン・フィリップ、ジェイミー・ベル、アダム・ビーチ、バリー・ペッパーなど。本作を見ると必ず日本編『硫黄島からの手紙』を見たくなること必至。これだけでの十分傑作と呼べるにふさわしい作品だが、『硫黄島からの手紙』を見て、初めてこの闘いの真意が明らかにされる作りになっているところは、さすがイーストウッド監督。うまい!とうなるばかりだ。(斎藤香)
衛生兵 2007-05-13
全編戦闘シーンでないのに、今までの映画にはない戦闘への「現実感」があります。
どこかの市街戦を実況されているかのような、迫真に迫る映像です。
これほどまでにアメリカも苦戦していたのか、という視点はわたしにはあまりなく、驚きを感じました。
後方支援がなければ前線は進めない。
傷ついた兵士は、誰かが担架で運び、どこかで治療を施してやらなければ、
ただ死を待つだけになり、隊全体が疲弊する。
そういう、ある意味当たり前の視点を、実に丹念に描いています。
勝敗が決した場面は、この映画にはありません。
しかし米国側は、衛生兵が注射器を持ち、点滴をぶら下げ、死者にかぶせる毛布が特別に用意されている。
それだけでも、十分勝敗は表現されているように思います。
歴史の勉強のような戦争映画じゃありません。
わたしも、是非両方観ることをお勧めします。
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