キル・ビル Vol.2出演:
ユニバーサル・ピクチャーズ / ジェネオン エンタテインメント
発売日 2004-10-08
オススメ度:★★★
パート1の強引でハチャメチャなノリを期待した人には、やや不満。逆に前作がパロディのみで物語が浅いと感じた人には、この続編には満足するだろう。残り3人となった復讐相手を探し、テキサスからメキシコへ向かうザ・ブライド。その間に、彼女の血塗られた結婚式や、中国での修行時代などが章立てで挿入されていく。やがて死んだと思われていた我が子の存在が、ブライドの心をざわつかせる。
今回は、各キャラの屈折した思いに深く迫る会話劇をじっくり展開。そこにドラマの醍醐味を感じさせる作りは、タランティーノの初期作品を思い出させる。全体に静かな展開のなか、宿敵3人とのバトルにはテンションが凝縮され、なかでもトレイラーハウスでのエル・ドライバーとの女同士の闘いがド迫力。マカロニ・ウエスタンやカンフー映画へのオマージュもあるが、パロディ色は突出せず、あくまでも母と娘の愛にテーマが収束される。クライマックスでの宿敵ビルとの一騎打ちも、底辺に流れるのは「愛」だ。連作にもかかわらず、パート1からのムードの転調に、タランティーノの野心を感じてしまう。(斉藤博昭)
確かに感じるカンフー映画、そして西部劇への愛 2007-03-21
Vol.1が日本文化へのオマージュだったとすれば、Vol.2はカンフー映画そして西部劇へのオマージュと私は捉えたい。ユマ・サーマンがパイ・メイと並んで型の練習に励む場面はまるでダンス映画を観ているようではないか。そして砂漠のトレーラーの中でのエル(ダリル・ハンナ)との決闘シーンの迫力。20年以上前の映画スプラッシュの可憐な人魚役で彼女のファンになった者としては、本作での彼女の悪役ぶりに驚かされるが、彼女はブレードランナーでもハリソン・フォードと闘っていましたね。本作でさらに役の幅を広げた彼女の今後の活躍が楽しみである。そして最後の愛憎半ばするビルとの決闘。デヴィッド・キャラダインはさすがの貫禄で、ユマ・サーマンとの言葉のやりとりが既に闘いになっているし、最後の戦いをこのように言葉での闘い中心にした監督のアイデアに感心する。
Vol.1,2を通じて、復讐シーンで銃を使わず、武器は使うものの、肉体を駆使した武術で勝負の決着をつけているのが潔い。Vol1.2とも映画館で観たが、この度DVDで鑑賞して、本作が好き嫌いはかなり分かれるだろうけれども、歴史に残る傑作であることを再確認したしだいである。
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